謎だらけのミステリー映画「スイミング・プール」解説
スイミングプールという、爽やかなイメージとジャケットとは反対に、本格的なミステリーというコメントが多いこの映画。
映画の宣伝でも、水滴を血の流れのように、ゆっくりと垂らしており、事件の雰囲気を感じさせます。
スイミングプール付きの、フランスの別荘で起こる殺人事件とは、どんな展開になるのか楽しみです!
映画「スイミングプール」概要
スランプ中の英国のミステリー作家、サラ(シャーロット・ランプリング)は、南仏にプール付き別荘を借りる。しかし突然借り主の娘、ジュリ-(リュディヴィーヌ・サニエ)が現れ、彼女の生活は一変する。
フランスの田舎で起こる、真夏の殺人事件。
映画のジャケットからは全く想像できないところが、逆に怖いです。
感想
意外な場所で起こってしまう、殺人事件を推理する物語かと思っていましたが、実は違いました!!
事件のシーンもあっさりしてますし、トリックも何もありません。そもそも、メインの登場人物は2人しかいないので、すぐに答えは出てきます。
この映画が何故、本格的ミステリーと言われるのかは、殺人事件の内容ではありません。
誰が殺したのか?では無くて、本当に殺人事件は起きていたのか?という所。
映画を見ていると、謎なシーンが結構ありますし、最後まで答えがわかりません。
ある仮説でストーリーを考えると、ココが矛盾するし、また別のストーリーで考えても今度は違う部分が矛盾してしまう。
とにかく、謎が多くて完璧な答えが出てきません。
謎シーン解説
【ここから、ネタバレあり】
①長すぎるパソコン設置
フランスの別荘に到着すると、過ごしやすい部屋を探し、落ち着くとパソコンを設置して執筆作業に入るんですが、パソコン出すシーンがなんか無駄に長い!
このシーンは何の意味があるんでしょう。
考えられるのは、ここまでが本来の現実であるという事。そして、これから先のシーンは全て、想像でありラストシーンに繋がると考える事も出来ます。
②十字架が移動する
わかりやすい、演出ですね。部屋に入ると何度か隠したはずの十字架が、元の位置に戻ってしまう現象がありました。
これは、ジュリーが部屋に入って戻していたように感じます。
③タバコは1本
タバコか、ドラックかはわかりませんが、タバコを吸うシーンは何回か現れます。
よく吸うわけではありませんが、何か思い着いた時や、何人かで話しているシーンではタバコが出てきますが、決まって1本です。
④食事を摂らないジュリー
ジュリーは、美味しいご飯をたくさん買って来たと言って、冷蔵庫に入れたきりそれを食べるシーンはありませんでした。
サラは、ヨーグルトを朝食で食べたり、ランチを外で食べるシーンも見かけますが、ジュリーの食事シーンはありません。
⑤水着はたくさんあるジュリー
スイミングプールで、ジュリーが泳ぐシーンでは、何種類もの水着で登場しますが、私服はほとんどいつも一緒です。
普通は、逆な気がしますが、サラから見たジュリーという視点だと、別荘にいるジュリーがメインなのでこのような、バランスになったのかなと思います。
⑤3冊の本
映画で登場する3冊の本の内容は、全くわかりません。
1冊目=ジュリーの日記。
ジュリーの日記を見て、何かに気づいたサラは、そのアイデアから、ジュリーというフォルダをパソコンに作って、文章を作っていきます。
2冊目=サラのファイル
サラの部屋に入った、ジュリーがファィルを見て、驚きの表情をみせて夢中で読み進めます。
自分のことが書かれていたら、日記を盗み見たことは対する怒りなどが出てくるのかと思いきや、これについたサラを責めることは、ありませんでした。
むしろ、このファイルを見たことで、殺人に至ってしまったのかもしれません。
3冊の本=「スイミングプール」
ジュリーから託された、母親の本の内容を元に書いたスイミングプールですが、ジュリーの母親は、ジョンに詰まらないと言われて焼かれてしまった内容と似ていたんだと思います。
最後のシーンで、ジョンにもう一度焼くのか?と聞いているシーンでも、ジョンが何の反応もないところから、ジョンに身に覚えがあるのか、ないのかもわかりません。
映画のジャケットと同じなので、映画の内容がそのまま本の内容だったのかもしれません。